泌尿器科
診療紹介
最近、テレビや新聞・雑誌で排尿や悪性腫瘍などの泌尿器科関連領域について取り上げられる機会が増えました。メデイアで紹介されたすべてには対応できませんが、お困りの方は、まずご相談ください。
受付・診察時間
他科と受付時間が異なります。詳しくは下記をご確認ください。
外来担当表はこちら診察医師
■ 岡田 安弘
(常勤:日本泌尿器科学会専門医)
月 (午前 / 午後【受付14:15まで】)
火 (午前 / 午後【受付14:15まで】)
水 午前予約制・午後休診
木 (午前)
金 (午前 / 午後【受付14:15まで】)
□ 髙橋 悟
(非常勤:日本泌尿器科学会専門医、日本大学泌尿器科学系主任教授)
火 (午前)
□ 佐藤 克彦
(非常勤:日本泌尿器科学会専門医)
金(午前)
□ 大澤 美優
(非常勤)
月 (午前 / 午後【受付14:15まで】)
□ 藤田 昴宏
(非常勤)
土 (午前・第二)
対象臓器・疾患
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- 尿路(腎、腎盂尿管、膀胱、尿道等)、男性生殖器(精巣、前立腺等)の炎症、腫瘍、結石、機能障害の一部(図 1.)。
- 一部の内分泌疾患(副腎疾患、男性性機能障害)。
主な泌尿器科受診の症状と疾患排尿の症状
1.排尿の症状
- 夜間頻尿(夜に尿の回数が多い)
「昼は問題ないけど夜間に頻回にトイレに行くので寝られない」と訴えられる方が増えております。前立腺肥大症に多くみられる症状ですが、夜間多尿(夜間にも昼と同様に腎臓で尿が産生される)の可能性も否定できません。既存の内科疾患(高血圧症、糖尿病など)や内服薬にも関係するため、受診時はご自身の病歴の把握とおくすり手帳の御持参をお願いします。 - 尿失禁(尿が漏れる)
切迫性尿失禁(尿意を感じてからすぐに尿が漏れる状態)、腹圧時(咳・くしゃみや重いものを持ち上げた時)に漏れる腹圧性尿失禁、この2つが混在する混合性尿失禁が主です。切迫性尿失禁は過活動膀胱にみられることが多く抗コリン薬やβ3受容体刺激薬の内服が治療の中心になります。腹圧性尿失禁には内服が効果のないことが多いため、骨盤底筋体操(主に座位の状態で肛門を絞める動作を定期的に行う、図 2)やダイエットを指導し、改善がみられない時は手術(TVTまたはTOT:細いメッシュを骨盤内に埋め込んで尿道を持ち上げ気味にする手技)をおすすめすることがあります。
また、他の失禁として、機能性尿失禁(移動が不自由なためトイレにたどり着く前に漏れる)、真性尿失禁(尿路の奇形や他臓器との新たな交通が生じたため漏れる)、溢流性尿失禁(尿が膀胱内に充満しているのに排尿出来なくなり、膀胱容量を超えた尿があふれて出る状態)があります。
- 排尿後尿滴下(尿をした後に数滴が下着にたれる)
中高年の男性に多くみられます。
尿道海綿体周囲の筋肉の低下が主な原因といわれております。 - 排尿困難(尿意があっても出にくい状態)または尿閉(膀胱に貯まった尿がでない状態)
- 前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿道狭窄、膀胱・尿道結石等が考えられます。疾患や重症度により、バルーンカテーテル(膀胱に留置し、排尿を助けるための管。ビニールやゴムでできている)を使用したり、入院・手術が必要になることがあります。
- 無尿・乏尿(尿が腎臓で造られなくなったり、造られても膀胱まで達しない状態)
緊急入院が必要です。尿管に原因がある時(両側の尿管結石、尿管狭窄等)は尿管ステント(尿管に挿入し尿の流れを助ける管)留置や腎瘻造設術(背中から腎杯・腎盂に直接管を留置する)を行います。
腎臓の機能低下や体内の水分の減少による場合は腎臓内科にて点滴や透析が必要になることがあります。 - 排尿痛(尿をしている時や終わった時に尿道が痛い)
細菌性膀胱炎・前立腺炎・尿道炎に多い症状ですが、膀胱・尿道異物や残尿(排尿後にもかかわらず膀胱内に多量の尿が残存している状態)の増悪時にも認められます。安易な抗菌剤の内服を行わずに、医師に相談してください。 - 排膿(尿の出口から膿が出る)
性交渉が原因の尿道炎が最も考えられます。
以前より使用される抗菌剤では耐性が生じており、効果がないことがあるので古い薬の使いまわしをしないようにして、早期に受診をしてください。
2.疼痛
- 背部痛・側腹部痛
尿管結石や急性腎盂腎炎にて生じますが、消化器科疾患(虫垂炎、憩室炎、胆嚢炎、急性膵炎、等)、心・血管疾患(心筋梗塞、腹部大動脈瘤解離、等)、婦人科疾患(卵巣捻転、等)の可能性もあるため、緊急でのCT撮影や、複数の科にまたがって受診していただくことがあります。 - 膀胱痛
いつくかの原因疾患が挙げられますが、代表的なものは膀胱の原因不明の炎症による間質性膀胱炎がございます。膀胱に尿が貯まった畜生時に症状が増悪するのが典型的です。軽度のものは消炎鎮痛剤や抗アレルギー薬の内服で抑えますが、改善しないときは入院・麻酔下での膀胱水圧拡張術や膀胱に薬物を注入する治療が適応になります。 - 精巣痛
一番気を付けなければならない疾患は精巣捻転(陰嚢内で精巣動静脈・精管が捻じれる状態、思春期の少年に好発)です。起床時に突然歩行ができないほどの痛みが続くときは、緊急手術が必要になることがあるため、泌尿器科の専門医のいる病院に受診してください。8時間以上経過すると精巣が壊死することがあります。似た症状を呈するものに精巣垂捻転や精巣上体垂捻転があります。鑑別が困難なことが多々ありますが、疼痛の程度が軽く、精巣が壊死することはありません(図 3)。他に精巣痛をおこす疾患に、精巣上体炎やムンプス(おたふくかぜのウイルス)精巣炎、特発性(原因不明)精巣痛があります。 - 亀頭部痛
小児は包皮なので、亀頭部に恥垢がたまり、そこに菌が入ると亀頭包皮炎を発症します。
また、水包形成後に疼痛を伴う潰瘍が生じたときは、性器ヘルペスを疑います。
3.その他
- PSA(前立腺特異抗原)の高値
人間ドックや高齢者検診の血液検査で前立腺癌の診断目的で行われます。ただし、癌以外にも、前立腺肥大症、前立腺炎、膀胱炎、経尿道的操作後(カテーテル留置、等)でも高値を示すことがありますので確定診断にはなりません。当科受診時は、PSA・尿の再検査、直腸診、エコー、骨盤MRIを行い、その結果癌が疑われる場合には前立腺生検をおすすめします(小張総合病院参照)。 - 血尿
血尿は尿に血液が混入している状態です。大きくわけて目で見て尿に血が混じっていることが確認できる肉眼的血尿と、見た目では分かりませんが顕微鏡で調べると血が混じっている顕微鏡的血尿があります(正確な顕微鏡的血尿の定義は、顕微鏡を覗いた時に赤血球が5個以上みえる場合とされております)。ちなみに健康診断でおなじみの尿潜血は、尿中のヘモグロビン(赤血球成分の1つ)を試験紙に反応させて、試験紙の色調で血液の有無や程度を測定するものです。偽陰性・擬陽性、試験用紙メーカーにより反応に差があるなどの欠点はありますが、検査法が簡単なため、よく行われます。また、排尿痛、頻尿などの症状を伴うものを症候性血尿、症状を伴わないものを無症候性血尿といいます。
血尿を呈する代表的な疾患を表に示します(表 1)。陸上競技や剣道などの後に血尿を認めることもあるため(行軍性血尿)、過労を理由に放置される方もいらっしゃいますが、表の疾患の可能性があるので、受診をおすすめします。ただし、血尿と同時に、タンパク尿や変形性赤血球を指摘された場合は、糸球体疾患が強く疑われます。この場合は腎臓内科に受診されてください。明らかに薬剤性が疑われるときはかかりつけの先生に御相談をお願いします。また、尿に血が混じっていないのに尿が赤っぽくみえることがあります。重症な胆道系疾患(胆石の嵌頓、劇症肝炎など)ではビリルビン尿、横紋筋融解症(筋肉の組織が壊れてその細胞成分が血液に出てくる状態)ではヘモグロビン尿・ミオグロビン尿を呈します。この場合は内科が専門になります。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL:Extracorporeal Sock Wave)
腎・尿管結石の治療の第一選択として、ESWLを行っております。破砕装置は2013年12月よりドルニエ社の「DeltaⅡ」を使用しております(図 4)。施行日は月曜または木曜の午後で、日帰りでの治療が可能ですが、鎮痛剤を使用するため、当日の車の運転はおやめください(来院には、ご家族の運転か病院の送迎バス、タクシーの利用をお願いします)。また、結石のサイズや位置によっては入院・麻酔下での内視鏡手術をおすすめします。
軟性腎盂尿管鏡下経尿道的砕石術(f-tul:Transusurethral Ureterolithotripsy)
今まで当院では内視鏡の手術は尿管結石のみしか治療できませんでしたが、この度ホルミウムヤグレーザー装置を購入しました。入院・麻酔の必要がございますが、軟性尿管鏡との併用により確実な腎・尿管結石の破砕・摘除が期待できます(図5)。
前立腺生検
いくつかの方法がありますが、当科ではエコーガイド下経直腸的での生検を行っております。
2泊3日の入院で、入院当日に生検を行います。エコーで確認しながら6~12ケ所に生検用の針を刺して検体を採取します(図 6)。
経尿道的水蒸気治療(WAVE: Wave Vapor Energy therapy)
前立腺肥大症は加齢により腫大した前立腺が尿道を圧迫することにより、排尿に障害をきたす男性特有の疾患です。内服で治療を始めますが、排尿症状に改善が見られないときは、手術を行うことがあります。今までは電気メスやレーザーで削ったり切開を入れる方法が標準的でしたが、この度、新たな手術方法が保険適応となりました。前立腺に高熱の水蒸気を注入する方法です。具体的には、麻酔下で外尿道口(尿の出口)から膀胱鏡のついたデリバリーデパス(水蒸気の出る機材、図7. )を挿入し、前立腺の腫大部に103度の水蒸気を注入します。注入部は壊死を生じた後に吸収され縮小します。熱は前立腺の被膜を超えないため、周囲の臓器には影響しません(図8. )。手術は10分ほどで終了します。術後は尿道の状態が安定するまで2~4週間、バルーンカテーテル(尿道用の管)を留置します。手術適応は、全身状態が不良で術後合併症のリスクがある症例、抗血栓薬の内服や血液凝固異常があり術中術後の出血のリスクが高い症例、高齢者や認知症のある患者様で術後せん妄や身体機能低下の恐れがある症例、となります。また、前立腺体積が80mlを超えたり膀胱収縮が低下している症例は効果が得られないことがございます。前立腺肥大症でお困りの方は、一度御相談下さい。
医師紹介
医師名 | 岡田 安弘(おかだ やすひろ) |
役職名 | 泌尿器科部長 |
診療科 | 泌尿器科 |
卒業大学 | 日本大学 |
専門分野 | 泌尿器科 |
所属学会 |
日本泌尿器科学会 |
認定資格 |
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医 |
ひとこと | よろしくお願いします。 |